社会心理学には援助要請行動といって、自分一人では解決できない問題や状況に直面した時、その問題や状況を解決するために、他人に助けを求める行動というものがあります。この行動がとれることは、ストレス緩和のための方法として大事なものです。援助要請行動とは、平たく言えば、今、自分はこういうことに困っていて、自分一人では解決できないので、助けてもらえるでしょうかと上司や同僚などに頼むことです。これができない人は、自分で解決できない問題や状況をずっと抱え込んだまま、なんとか対応しようと繰り返します。しかし、解決できないわけですから、その問題や状況に押しつぶされ、ストレス反応を示してしまうことになります。
このように援助要請行動をとれない人は、介護現場でも少なくありません。助けてくださいと言えない理由はさまざまですが、適切に他人の助けを受けずに物事を解決できない人は、仕事や生活の仕方など、いろいろな不都合や課題を抱えている、あるいは抱えやすい人です。また、迷惑をかけてはいけないと考える人は、内に向けられた隠された怒りというのを抱えています。迷惑をかけるイコール、相手から怒られる、非難されるということにつながっています。しかし、ストレスによって辛い状態にあり、助けてもらわないと仕事を続けられない状態にある時、助けてほしいといえなかったら、結果的に、ストレス反応による休職につながりかねないわけです。そして、ただでさえ、人手不足の介護現場では、第二、第三の自分をつくりかねないのです。そうした状況を避けるためにも、援助要請行動は重要になります。